「たまゆら」のアプコン映像はダウンコンバート方法が致命的だった

 SDっぽいけれどLB相当な感じもする。「たまゆら」のSDアプコン放送は、映像のHD化が完了した現在において、いろんな意味で微妙な空気をもたらせました。とくに、関東の地方局(U局)では放送ソースの解像度がオールHD化されており、そういう意味でも「たまゆら」の映像を観て面を喰らった人は少なからずいたと思います。

SDアプコンなだけでもかなり残念なのですが、「たまゆら」においてはSDにしても画質が酷すぎる点にあり、480iのSD解像度のようで360ライン相当のLBっぽいボケやジャギーも見える映像となっています。

私自身も、この画質の正体(どうしたらこうなるのか)を解明したかったため、「たまゆら」の映像の癖を再現すべく思い当たる処理を実践してみたのですが、どうやらそれっぽい処理が判明しました。

フィールド処理スケーリングのダウンコンバートという荒技

↑「たまゆら」EDのカットより。キャストの「キ」「ス」、三次ちひろの「三」など、横方向のラインが二重に分離してボケているのがわかる。SDなりのラインが出ている部分と、激しくボケている部分が混在しているというのがミソ。

「たまゆら」のLBのようなSD画質は、フィールド(トップ・ボトム)分離しながらスケーリングするインタレース維持タイプのダウンコンバートである可能性が高く、それを物語っているわかりやすいシーンとして、OPやEDのテロップがあります。良く見ると、横方向のラインがそれなりに出ている部分と、激しくボケているラインが混在しており、ボケ部分は薄っらとラインが2つに分離しています(右のスクリーンショット)。

勘の良い人はこれで「あーなるほど」とわかると思うのですが、これはフィールド分離タイプのスケーリング処理をプログレッシブ映像(もしくはインタレース映像の動かない部分)に適用すると発生しやすい現象で、映像が縦方向にライン単位で分離したりボケやジャギーも招くため、縦解像度が激しく劣化します。

 論より証拠ということで、「たまゆら」のテロップに似た画像をHDで起こし、AviUtlのインタレース維持リサイズでダウンコンバート(縮小後)→ Lanczosアルゴリズムで1440x1080に拡大(アップコンバート)したのが下のスクリーンショットです。青矢印で示したラインに前述とほぼ同様の現象が出ました。そこそこ正常なラインが混在している点も同様です。



↑フォントやサイズ・位置が微妙に異なるため、すべての部分で同じ再現には至らなかったが、青矢印部分に同様の現象を確認。ブレやボケのない部分も同様に混在するため、「たまゆら」はこれと同等の処理により一旦ダウンコンバートしたと思われる(クリックで等倍)。

タブ切り替えでの比較用に以下のスクリーンショットも置いておきます。

ただし、こういったダウンコンバート(480iからLB変換を含む)はSDアプコン全盛時代に少なからず見られたため、「たまゆら」のみで起きた現象でないことを付け加えておきます。

この画質低下は「誰のため」に

 ダウンコンバートが残念だったとはいえ、さらに追い打ちをかけてしまったのがアップコンバートも動き適応型でありながら、動き部分がフィールド分離型のスケーリングで縞々になり、さらにダウンコンバート・アップコンバートでエイリアスか輪郭強調が原因と思われるリンキングも縦横方向に発生し、画質低下を司る四天王(ダウンコン/アプコン/フィールド処理/リンキング)揃い踏み状態になってしまった点。

 ここまで画質低下したのは、製作や編集サイドが意図したものなのか、そうするつもりはなかったけれど残念処理が重なった結果なのかはわかりませんが、「たまゆら」のようにその土地の情緒を含めた雰囲気を映像で表現する作品において画質は重要なファクターであり、凄まじく低品質なダウンコンバートという「一部の視聴者が意気消沈するだけで誰も得しない」処理自体を挟む必要があったのか、私には疑問が残ります。

  • リンク
  • 「たまゆら」公式サイト

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