【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】NVIDIAフアンCEOインタビュー ~SHIELDはゲームのビジネスモデルの変化で産まれた
「SHIELD」の発表時、NVIDIAはSHIELD自体を売りたいというよりも「GPUメーカーとしてSHIELDというデバイスでNVIDIAのパフォーマンスを示したいのだ」という印象を個人的に受けた。言うなればNVIDIAの技術の一端を見せるためのデモ機という位置づけだ。
記事を読むに、「自分たちであれば今という時代なりに最先端デバイスを作れるかもしれない」とモーションを掛けつつ、毎年新しいSHIELDを出すことで顧客のハートを掴みたいのでは? という狙いが見え隠れする。NVIDIAにとって、モバイル分野は絶好調といえない現状がそう感じさせるのかもしれないが……。
今のところ、モバイル向けSoC「Tegra」シリーズが他社のSoCに対して大きな優位性を見せつけられず、携帯ゲーム機のGPU採用例からもNVIDIAは蚊帳の外状態。メジャーな据置機を見ても初代XboxとPS3に採用例があるだけで、噂される次世代据置機や任天堂系ハードはAMD一色という現状だ。
そこに、SHIELDで新Tegraのパフォーマンスをさり気なくアピールするとどうだろう。しかも「ゲーム機的なデバイス」というわかりやすい形でだ。おそらく、その度に私たちの目を引くことになるし、ゲーム機としてソフトに恵まれずあまり売れなかったとしても「Tegra」というSoCの評判は業界に轟かすことができる。この作戦が功を奏するにしてもやや時間を必要とするだろうが、NVIDIAがこういう手に打って出たとしても ”この先” を考えると間違いでは無い気がする。
また、上手く行けば、ファミコン時代から続く「独自のハード設計(固定機能)で長年戦う」という今の時代にそぐわないルールにもメスを入れられるかもしれない。ハードベースですべてを拵えるのではなく、アップグレードも可能な基本仕様を決めてOSやソフト側に互換性等の世代管理を委ねる。ソフト側に多少の負担はかかるが、柔軟性を持たせるには「ソフト」に頑張ってもらわなければいけないし、従来の設計思想や売り方から抜けだすチャンスにもなるだろう。
いずれにしても、新たな大口の取り引きとして NVIDIA の GPU や SoC が採用されたとき、SHIELD は酬われるのかもしれない。