という噂は、2ちゃんねるソフトウェア板 AviUtl 総合スレッド73(post 74~)で見かけたのですが、真偽の程を確認するためベンチマークを実行してみました。
使用した Version は ──
という内容で、それぞれのバージョンにて IDCT 関数「浮動小数点」「整数 32bit LLM」「整数 32bit AP-922」の3種を10回ずつ実行し、その平均値をデータとして採用しています(IDCT関数以外の設定は変更無し)。デコードに使用した映像は約7分長のTSファイルで、総デコード数は10,500フレーム(1440x1080/60i)という同一ソースを使用しました。なお、GOP リスト(glファイル)は、ベンチマーク前に生成しておき、ベンチマーク時にそれを再利用するかたちです。
ベンチマーク方法は、AviSynth の LoadAviUtlInputPlugin にて m2v.aui を使用し、そのavsを avs2pipemod の benchmark モードで測るというシンプルなものです。
Memory : DDR3-1600(9-8-8) 16GB(4GBx4)
HDD : WD30EZRX(3TB)
*TSファイルのデータはglファイル作成時に読み込んで主記憶にキャッシュされている状態
OS : Windows7 Professional x64AviUtl : version 0.99l
ベンチマーク結果:v0.7.6 はやや速度低下が見られる
以下がベンチマーク結果(値はデコード時のフレームレート)。
見てのとおり、どのアルゴリズムにおいても v0.7.6 はデコード速度が低下しており、v0.7.5 程ではないにせよ噂を裏付ける結果が得られました。
v0.7.5 は使用している方々の blog などで「速度が振るわない」という旨の言葉が多く、私の環境で試してみたところ、このようなデータが出たため Twitter で呟いたところ、茂木氏が興味を持ってくださり、提供されたデバッグフラグ付きのバイナリでデータを採ってそれらを提出 → 解決していただいた経緯があります(v0.7.5a)。
さて、現時点で最新の v0.7.6 ですが、v0.7.5 ほど遅くないにせよ若干の速度低下は確認でき、もっとも高速なアルゴリズムである「AP-922」が v0.7.5a の「LLM」並に落ちており、クオリティ重視で演算コストが大きい「浮動小数点」においても僅かに速度低下している結果が出ました。
しかし、この程度の速度低下であれば、CPU リソース(処理している時間)がほんの少し延びて、後段処理を含めた全体の処理時間(エンコード等の出力に至るまで)が微かに遅くなる程度かな……とは思いますが、もしも m2v デコード後に軽い処理をしていると、わりと差が出てくる可能性もあるため、わかさトラップ処理を他に任せている人であれば v0.7.5a の使用がベストといえるかもしれません。